2008年12月23日

プロの仕事(2)

前回の記事に引き続き、プロの仕事とはどのようなものかです。

5.プロは自分の限界を知っている
プロは自分のやっていることが分かっていますので、滅多なことではその限界を超えることをしません。自分の「理論」や「メソッド」に溺れて、何でもそれで解釈、解決できると思うことほどプロとして恥ずかしいことはないからです。
「目利き」としての能力、そしてそれに対する「評判」を危険にさらすような行為はプロはやりません。

6.プロはサポーサーを選ぶ
人間誰しもほめられればうれしいものです。豚もおだてりゃ木に登るって言います。ほめてくれれば、どんな人だってうれしいし、それが社会的に影響力がある人によるものだったら喉から手が出るほど欲しいと思うのも当然でしょう。
しかし、プロはほめ言葉をもらうことに慎重です。前回書いた通り、プロの仕事の評価は仲間のプロによるものが最も大事だからです。的外れな称賛は的外れな批判よりたちが悪く怖いのです。
反対側から見れば、よく知らない分野のことで、知ったかぶりで安易にほめ言葉を使う人間はプロではありません。間違っているかもしれないことに安易に加担するという意味で、デタラメを言っている人間より罪が重いとさえ言えるのです。

7.プロは批判を大事にする
これも前回書いた通り、プロにとって最も恐れることは「相手にされない」ことです。論理が通じない人間だと見なされることはプロの社会では存在しないと同じです。これに比べれば批判されることは少なくとも相手にされているのでプロはこれを大事にします。
批判されることは誰でもいい気持ちはしません。しかし、批判を受けたときの対応こそプロとしての力を試されているので、プロの仲間はそれを見ています。批判されること自体がプロの間で問題になることは滅多にありません。
批判に対して子供のように逆切れしたり、果ては何とかして批判そのものやその痕跡を消し去ろうとすることはそれだけでプロとしての人格を否定する行為になります。
もちろん、まったく的外れな批判に対しては無視することもあります。当然のことですが、プロの間では批判の正否も判断されているのです。

8.プロは最低限の仁義は維持する
プロはどんなに厳しい状況でも、最低限の仁義は維持します。どんなことかといえば、「他人の言っていることを間違えずに引用する」とか「相手の質問に誠実に答える」とか「普通に使われている言葉の意味を勝手に自分で変えない」とか言ったことです。
こうしたことができない人間は、まさしく論理が通じないと見なされるのでプロの世界からは相手にされなくなります。それどころか、普通の社会でも相手にされなくなることでしょう。
posted by 杉田伸樹 at 08:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 外国語練習いろいろ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年12月10日

プロの仕事

どんな仕事でもプロがいます。プロとそうでないものの違いは、端的に言えば「金をとれるか」ということでしょう。かなり前にこのブログで、「外国語学習の最大のライバルはお金だ」と書きました。これはまさにプロの仕事について書いたものです。

プロの仕事とはどのようなものでしょう。私が思うに次のような特徴を持っています。

1. プロの仕事は命や金がかかっている時に必要
にせ医者に大事な手術をさせないのは当然ですし、間違って刑務所に入れられないようにするためにはちゃんとした弁護士が必要です。どうでも良いことなら、誰だってできます。

2. プロは間違ったことを言わない
やるべきことができればどんなことを言っても良いとはプロは考えません。やっていることだけでなく、言うことの正しさでも評価されるからです。
「フグの毒があるのは肝臓だけで、それだけとれば大丈夫」と言うフグ調理師を信用できますか。たとえこれまで大丈夫だったとしても、こんなことを言っているということだけでクビでしょう。
あるいは「ニュートンの運動方程式はf=maではなくてf=m/aだ」と言うエンジニアが設計した飛行機に乗る気がしますか。こうした間違いを平気で言ってしまうような人間はプロとは言えません。

3. プロの仕事の評価はプロがする
一般的に、評価というものは、対象に関する知識がある場合の方が辛くなります。だから、特定の分野での仕事のレベルを保つための方法として、仕事の評価は同じ分野のプロが行うというピア・レビューがとられます。評価をする方も、的外れな評価をすればそれだけで評判は落ちるので真剣です。特に、個人的な事情が絡んでの甘い評価や、知ったかぶりでの評価をしたりすれば、即座に信用を失います。評価者が被評価者と個人的な関係があるということを言うだけでも評価の信頼性は失われます。プロとして当然心得えていなければなりません。
一方、その分野であまり知識がない場合には「自信を持って批判する」ということができません。「その批判は間違っている」と逆襲されたときの反論が用意できないからです。反対に言えば、素人にも自信を持って批判されるようならば、よっぽど出来が悪いと考えた方が良いでしょう。

4. プロの評価は3段階
評価に対するプロの態度は、大きく区切れば3段階です。もっとも厳しいのは「相手にしない」でしょう。そのことに触れるだけでも見識を疑われるようなものは放置です。少しでも評価する点があれば「批判」でしょう。もちろん、評価される側が少しでも理性的ならばですが。
気を付けないといけないのは「批判」は「相手にしない」よりは、少なくとも評価の対象になるという点では良いことです。批判をされたといって逆切れする人はよくいますが、相手にされるだけましだと思うべきでしょう。また、批判がないからといってそれが認められているということにはならないという理解も大事です。
プロとしての職業倫理に恥じないとなって初めて「ほめる」ことが可能となるのです。
posted by 杉田伸樹 at 23:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 外国語練習いろいろ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年12月09日

苦労しているのは日本語話者だけじゃない

外国語を学習するという行為は何も日本語話者が英語を学ぶだけではありません。言語の数がNなら、外国語を学ぶ組み合わせはN*(N-1)だけあります。

このような組み合わせで、難易はどのように決まるのでしょうか。白井恭弘『外国語学習の科学―第二言語習得論とは何か』(岩波新書)という本を読むと、両言語によりさまざまなようです。

これを具体的に見るには、いろいろな言語の話者が共通した一つの言語を学ぶ際の困難の違いや、反対に共通した一つの言語の話者がいろいろな言語を学ぶ際の困難のパターンが分かると役に立ちます。

外国語を学ぶことは発音だけではありませんが、分かりやすい例として発音について調べたものをネット上でいくつか見つけました。

Ship or Sheep? Third Edition, Likely errors
http://www.cambridge.org/elt/shiporsheep/likelyerrors.htm

これはイギリス英語発音の初級テキストである『Ship or Sheep』という本の関連サイトです。いろいろな言語(25あります)の話者が英語の発音をする場合の問題点の分析をしています。

Non-native pronunciations of English, Wikipedia
http://en.wikipedia.org/wiki/Non-native_pronunciations_of_English

これも同様です。言語の数は10で少なめです。

Anglophone pronunciation of foreign languages, Wikipedia
http://en.wikipedia.org/wiki/Anglophone_pronunciation_of_foreign_languages

こちらは反対に英語話者が他の言語を発音する際の問題点を述べています。

これら全部が妥当であるかどうかを判断することは、私はできません。知識のない言語もたくさんあるからです。

それでも、これらを見ていると、外国語を学習する際の困難の多様性が分かります。また、特に大事だと思うのは、外国語の学習が難しいのは何も日本語話者だけではないという事実です。

そんなこと当然じゃないか、と思ったあなた!健全な判断力の持ち主です。

世にあるトンデモ外国語学習法では「英語ができないのは日本人だけ」といった何の根拠もない脅しをしたり、「欧米言語は発音は同じ(だからヨーロッパ人は英語ができる)」といったこれまたデタラメを言うことが好きなようです。

おそらく自分が話すことが通じなかったことを根拠なしに勝手に日本人全体に広げたり、あるいは自分の無知とコンプレックスからでっち上げた分類にもとづく「理論」に自ら溺れているのでしょう。

事実にもとづく観察は正しい考え方の基本です。外国語学習でも同様です。外国語を学ぶことは複雑なプロセスです。それはここであげたサイトにでているパターンを見るだけで理解できます。そうした現実を無視した「理論」や「メソッド」はすぐに化けの皮がはがれるのです。
ラベル:外国語学習 発音
posted by 杉田伸樹 at 00:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 外国語練習いろいろ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年12月07日

外国語学習オレオレ詐欺

前に書いた記事で、外国語学習の詐欺のことを書きました。

詐欺といえばオレオレ詐欺(最近は振り込め詐欺か)。やっぱりそうですね。それで、私がこのところずっと考えていたのは、外国語学習でもやっぱり詐欺の一番はオレオレ詐欺だということです。

「オレ」は昔はもてなかったけど「オレ」が見つけたこの方法を使ったら「オレ」はもてるようになった!「オレ」ができたんだから、「オレ」以外の誰でも「オレ」が発見して「オレ」が教える方法でできるようになる!「オレ」の言ってることだから間違いはない!「オレ」はいつから神になった!

まあ、「オレオレ」とうるさいこと。でも、まともな人はこんなに「オレオレ」言われたら、それだけでも詐欺だと思っちゃいますね。人をだますのももう少しうまくやらないと相手にしてもらえないですね。
posted by 杉田伸樹 at 22:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 外国語練習いろいろ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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