2009年07月05日

Interagency Language Roundtable

アメリカの政府関係機関で外国語訓練を行っている機関同士が意見交換等を行う組織があります。
http://www.govtilr.org/

構成機関には、このブログでも何回か言及した国務省外交官研修所(Foreign Service Institute, FSI)や国防総省の研究所、平和部隊(Peace Corps)などがあります。

これらの機関は実際に外国語を使って仕事(mission)を遂行するために職員等の研修を実施しています。目的がはっきりしているだけ、中途半端なことは許されません。また、研修も長い時間をかけるわけにはいかないので、最も効率的な方法を常に研究しています。

コンファレンスなどで発表された論文などもあり、外国語訓練に興味がある方には面白いものもあります。

私が読んでなるほどと思ったものに次の論文があります。FSIの方が書いたものです。
http://www.govtilr.org/Publications/TESOL03ReadingFull.htm

ドラフトなので許可なく引用不可となっていますので、詳細な引用は避けますが、大人の学習者が外国語を学ぶ際の重要な論点が述べられています。私は専門家ではないので、書かれていることすべてが正しいか判断する能力はありませんが、自分の経験と照らしてみてもなるほどと思いますし、半世紀以上の実践の積み重ねから得られたものであるので、間違っている可能性はきわめて少ないと思います。

この論文で感心した点は次のようなものです。

1. language proficiency(外国語能力と訳しておきます)を"the ability to use language as a tool to get things done"(物事を処理する道具として言葉を使用する能力)と定義しています。これは妥当ですし、特に大人が外国語を学習する場合は頭に置いておく必要があります。つまり「何のために外国語を学ぶのか」をはっきりしておく必要があるのです。

2. 成熟した大人の学習者は集中的な学習で、ネイティブスピーカーとほぼ同様にプロとしての仕事をできる程度まで上達できるようになる(Lesson 1)、としています。つまり、1.で定義した外国語能力は大人の学習者でも十分達成できるのです。また、ネイティブ・スピーカーの話し方(native accent)を達成することは、たいていの場合、外国語能力の指標とはならない(言っていることが理解できるものかどうかはもちろん重要だが)としています。

3. 学習にかけた時間と集中度は効率的な学習のために必須であるようです(Lesson 4)。外国語学習は短期間ではできません。また、焦点を絞った練習(drill)も必要です。

4. 外国語を読んだり話したりする際、自動的であること(automaticity)が重要である(Lesson 7)としています。この訓練の一つに「パターン・プラクティス」があり、多くの学習者が必要と考えています。また、読解も少し易しめのものを数多くこなすことが必要としています。

その他にも、外国語学習に重要な論点が多く述べられています。一度ご覧になることをおすすめします。長年の経験に裏打ちされた実践的知識の塊で、外国語を学ぶ際の心構えとしても大変役にたつものだと思います。
posted by 杉田伸樹 at 19:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 役立つサイト | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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