2010年11月04日

外国語「らしい」発音と外国語として「通じる」発音

簡単な文章を外国語らしく発音することができるかどうかを外国語能力の判断材料とする向きがあります。

実は外国語の運用能力がなくても外国語「らしい」あるいは外国語「っぽい」発音をすることはそんなに難しいことではありません。例えば、外国語の歌を歌ったり、歌まねをして、ネイティブスピーカーのように聞こえる発音をすることを得意とする人は多くいます。そのためにはそんなに大変な練習は必要ありません。簡単な挨拶や短い文章程度だったらすぐにできます。ですから、こうした短い文章を何回も練習させて発音させたものを聞いて判断するということに意味はないのです。

つまり、こうした簡単な文章の発音が良いことは外国語のオーラルな運用能力の十分条件ではありません(ただし、多くの場合、必要条件です)。ですから、こうした簡単な文章の発音だけで「免許皆伝」の判断をしているとしたら、それはまったくデタラメと言っていいでしょう。

それなら、実際に「通じる」(つまり役に立つ)外国語の発音ができているかどうかを判断するにはどのような方法があるでしょう。別に私は外国語教育のプロではありませんし、実際に試してみたわけではないですが、おそらく次のような方法が有効なのではないかと思います。

まず最初に学習者の興味や必要性のある分野の1ページ程度の文章を用意します。これを初出で(つまり何回も練習してではなく)音読してもらいます。実際に音読をしたことのある人なら分かりますが、とにかく文章の内容、特に構造が分かっていないとどこに切れ目があるか(これは読む時のポーズに対応します)つかめず、ただ単語をずらずらと並べて発音していくことになってしまいます。このようになると聞いて理解してもらうことは困難です。また、個々の単語の発音やアクセントが分からないと、そこで止まってしまいます。これも理解を大きく妨げます。評価する人はこれを聞いてどこに問題があるかをチェックします。

次に学習者は辞書などを用いて、分からない単語の発音や意味を調べます。こうしたことが自分でできるかどうかも運用能力の一部です。文章の意味が分かり、単語の発音が確認できたところでもう一度音読をします。評価者はこれもチェックします。おそらく前回に比べて大きく改善していることが分かるはずです。

最後に模範的な発音(できればネイティブスピーカーのもの)を何回か聞いたうえで、また音読をします。この最終の仕上げも評価者が聞きます。

外国語のオーラルな運用能力を正確に測ろうとすれば、この程度の手間は必要だということは理解できると思います。さらにこの方法の良いところは、通じる外国語の発音のために何が欠けているのかを特定することが容易になります。例えば、文章の意味の理解はできるのにここの単語の発音が間違って覚えていたとすれば第1段階と第2段階の間で改善ができます。

音素の発音をコンシステントに間違っていたとすれば、第2段階と第3段階の間で改善をすることが期待できます。

問題点が分かれば改善の方法もすぐに見つかります。多くの単語の発音を間違っているとしたらきちんと単語の発音を覚えるしかありません。文章の意味が分からないのだったら文法を手がかりにして文の構造を読み解く訓練をします。こうして効率的な学習をすることができます。

教えるということは「免許皆伝」を出すことが目標ではありません。学習者が自立して学ぶ能力を育てることが大事なのです。「免許皆伝」を頻発するのは詐欺のサインとして気をつけた方が良さそうです。

なお、この方法は国際特許をとるつもりですので真似をしてはいけませんよ(笑)。
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posted by 杉田伸樹 at 23:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 外国語勉強法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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