2007年08月14日

外国語トンデモ学習法(その2)

私の趣味は外国語トンデモ学習法の研究だということは、前に書きました。トンデモ学習法に共通した傾向を見つけていますが、さらなる研究の成果をここに公開します!

トンデモ学習法には頻出する「決まり文句」があることを発見しました。

1.「これさえやれば」
もちろん、学習の効果を最大にするためには、他の学習法を併用するなんて無駄の一言です。これだけに集中することが大事です。

2.「100%」
もちろん、効果に1%でも疑いがあったら勧めたりしません。絶対確実。Guaranteed to work, or your money back.(って言っているかどうか知りませんが。)

3.「ネイティブ・スピーカーと同じに」
もちろん、外国語学習の究極の目的はこれしかありません。文法なんてどうでも良いんです。言っている中身なんか分からなくたって良いんです。

****

かつて、物理学者のスティーヴン・W・ホーキングは著書「ホーキング、宇宙を語る」で次のように述べています。

この本の中に数式を一つ入れるたびに、売れ行きは半減すると教えてくれた人がいる。そこで、数式はいっさい入れまい、と決心した。しかし、とうとう一つだけは入れることになってしまった。アインシュタインの有名な式 E=mc2 である。この式が私の本の潜在的な読者をおびえさせ、半分に減らさないことを願っている。


外国語トンデモ学習法の作者は外国語学習者への愛情からトンデモ学習法を発表しているのではないか、というのが私の直感なんですが、上記のような「決まり文句」を使うことは、ホーキングの本の中に式をどんどん入れるような効果を持っているのではないかと密かに心配しています。

つまり、決まり文句を使うことにより潜在的なトンデモ学習法のユーザーを多数取り逃しているのではないかと推測します。これはまことに残念なことなのではないでしょうか。トンデモ学習法の恩恵を受けられる可能性のある人が、上記のような決まり文句を見ておびえてしまい、それ以上使うことをあきらめてしまいます。

これは大変な社会的損失ではないでしょうか。外国語トンデモ学習法の作者の皆さん、「決まり文句」を使うのはやめましょう。

****

これさえやれば、100%、まともな外国語学習法と同じになりますよ。
posted by 杉田伸樹 at 22:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 外国語練習いろいろ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年07月31日

Instituto Cervantes東京9月オープン

スペイン国営セルバンテス文化センター東京が9月にオープンするそうです。
http://pruebas.tokio.cervantes.es/jp/default.shtm

スペイン語のスクールもあるそうです。

これまで世界の各地にセンターはあったのですが、なぜか日本にはありませんでした。スペイン語に興味がある人にとって役に立つようになることを祈っています。オープンしたら私も行ってみたいですね。
posted by 杉田伸樹 at 22:04| Comment(0) | TrackBack(0) | スペイン語いろいろ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年07月22日

Daily Newsの他言語版

Daily Newsには、スペイン語版だけでなく他言語版もあります。

以下が放送されている全言語のリストです。

日本語、英語、アラビア語、ベンガル語、ビルマ語、中国語、フランス語、ドイツ語、ヒンディー語、インドネシア語、イタリア語、朝鮮語、マレー語、ペルシャ語、ポルトガル語、ロシア語、スペイン語、スワヒリ語、スウェーデン語、タイ語、ウルドゥー語、ベトナム語

このうち、スクリプトがあるのが、英語、アラビア語、中国語、フランス語、朝鮮語、ポルトガル語、ロシア語、スペイン語となっています。

スペイン語のスクリプトを見て、内容が分からない場合は例えば英語のスクリプトで同じ内容を探してみて、見当をつけるということが可能です。いや、別に英語でなくて、分かるんだったらアラビア語でも良いんですが(笑)。また、スクリプトはありませんが日本語だったら聞いて理解することはできるでしょう。

ただし、ニュースの内容が言語により完全に同じであるかどうかはきちんと確認しないといけません。また、内容が同じであっても少しずつ言い方が違う可能性もあります。こうした点を考慮した上で、他言語版も利用する方法もあると考えられます。「スペイン語で学ぶヒンディー語」なんてのも誰かやりませんか(笑)。
posted by 杉田伸樹 at 15:10| Comment(2) | TrackBack(1) | Daily Newsについて | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年07月17日

2007-07-17

■新しい吹き込み者

昨日と本日、新たな吹き込み者が加わりました。これからも継続的に出演するかなど、まだ分かりませんが、新たなしゃべり方を聞けるのは楽しみです。

本日でていた女性(名前は良く聞き取れなかった)は、しゃべり方、特にアクセントやイントネーションが特徴的で、いままであまり聞いたことがなかったようなしゃべり方でした。

こうしたバリエーションを聞く経験は役に立つと考えています。
posted by 杉田伸樹 at 23:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 本日のDaily News | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年07月03日

Programación Semanal de NHK World

Daily Newsの姉妹版とも言えるサイトです。
http://www.nhk.or.jp/rjweekly/spanish/index.html

Daily Newsは毎日10分間に7〜8のニュースを読み上げていますが、こちらのサイトでは毎日15分程度で一つのテーマを扱っています。また、曜日によっては日本語の練習もあります。

トランスクリプトがないのでちょっと大変ですが、一つのテーマを少し長い間聞いて理解する練習になります。

DELEの聴解力試験などもそれなりに長い文章を聞いて理解しないといけませんので、試験の練習になりそうです。

吹き込み者も多様で、Daily Newsに出ていない人も入っています。
posted by 杉田伸樹 at 22:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 役立つサイト | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年07月02日

Basic Spoken Spanish (基礎スペイン語会話) (その5)

これまで述べてきた通り、この教材はたいへん量も多く、時間もかかります。どのような使い方をすると効果的かバリエーションを考えてみました。

1. 先生がいる場合

先生がこの教材を使う場合は、先生が必要な場所を集中的にやることが良いと考えられます。置き換え練習などを生身の先生がやるのは大変かもしれませんし、もしかしたら少しもったいないかもしれませんが、これを相当なスピードでこなすと力はつきます。

もちろん、会話部分をしっかり練習したりすることも効果的かと思います。生身の人間 (特にきちんと教授法を身につけているネイティブ・スピーカーの先生) から習うことは、間違いを直してもらったり、細かなニュアンスを確認するといったことのためにはこれ以上のものがありません。

その上で、足りない部分は自習で補うようにすることが望ましいでしょう。どのようなやり方が考えられるかは次に述べます。

2. 先生がいない場合

この場合は、自分でできる限りのことをしなければいけません。さいわい、この教材はかなりの部分を自習のために使うようにできます。例えば置き換え練習などを自分でやることができます。

先生がいないことを補うためには、練習時間をなるべくたくさん取ることが必要です。音声教材は、聞くだけだったら電車での通勤時間でもできます。声を出して練習すると周りの人が逃げていくかもしれませんが(笑)。

自動車通勤の人だったら、カーステレオを使って練習しながらということも良いかもしれません。あまり夢中になって運転がおろそかにならないように気をつけてください(笑)。

先生がいないとどうしても疑問に思ったことを解決できなかったり、間違って覚えていることに気付かなかったりする可能性もありますので、何か工夫をしてください。

*****
以上で、この教材に関しての記事は一応終了します。最初に書いた通り、この教材の出版社は今はなく、手に入れようと思っても不可能になっています。でも、とても良くできたものですので何とか復活できないでしょうかね。あるいは、とても大変なことだと思いますが、これに匹敵するくらいの総合的な学習教材が新しくできたらうれしいですね。
posted by 杉田伸樹 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | スペイン語いろいろ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年06月27日

Basic Spoken Spanish (基礎スペイン語会話) (その4)

予備学習を終えて、いよいよ本編に入ります。本編の構成は課により少しずつ違いはありますが、おおむね以下のようなものとなっています。

●本文

各課は、日常生活の場面を想定したダイアログからなっています。録音は、(1)ほぼノーマル・スピードで全文を録音、(2)リピート用のポーズ付きで録音、(3)ノーマル・スピードで全文を録音となっています。最初は集中して聴くことに専念し、その後、手本について真似をして、最後に仕上げで聴いて理解するようになっています。なお、この教材のもとになったFSIのSpanish Basic Courseにあったreverse buildupは日本版では採用されていません。理由は分かりませんが、録音時間の制限なのかもしれません。

●基本文型

本文中にあるその課で学ぶべき文法事項を含む文章が提示され、リピートするようになっています。簡潔な説明もあります。より詳細な説明を後に出てきますが、ここでは最小限にとどめられています。

基本文型の練習を強化するためにいくつかの応用的練習が続きます。

●置き換え練習

この教材の一番の特徴といっても良いかもしれません。元の文章の一部を別のものに置き換えます。必要に応じて他の部分(形容詞、冠詞、動詞など)を自動的に変化させるように練習します。

これは馴れるまでかなり大変なものです。文法を意識せずに、しかし、文法的に間違いない文章を頭で考えるだけでなく口に出して発音できなければならないからです。実際、これを続けていると自分が機械になったような感じさえ起こさせるくらいです。もしかしたら、最近はやりの「ブート・キャンプ」も同じかもしれません。

でも、これをきちんとやると確かに力が付きます。短い時間の中で間違いなくこの置き換え練習ができるようになれば相当上達したと思って良いでしょう。

●問答練習

質問に対して答える練習です。質問の意味を聴いて理解し、すぐに答えるというスピードが要求されます。

●西作練習

その課で出てきた文法事項と語彙を使って西作文を行います。録音には答だけが入っています。書いて練習することも良いかもしれません。

●文法

文法事項について詳しく説明しています。例えば接続法だったら、動詞の活用形や用法についてより詳しく述べられています。

●講読

会話ではなく、少し長文が載っています。録音もされています。

その他に、応用練習や復習もときどき出てきます。

このようにかなり盛り沢山といっても良いでしょう。だから、短時間でできると思ったら間違いなのは確かです。また、特に置き換え練習などは繰り返しをする必要があるので、飽きがこないように学習者が工夫をしないといけません。これが一番の難関かもしれません。各課の本文が、わりあい日常生活に即した興味を起こすような内容になっているのは、学習者の飽きをいくらかでも少なくすることを狙っているのかもしれません。

(続く)
posted by 杉田伸樹 at 23:32| Comment(0) | TrackBack(0) | スペイン語いろいろ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年06月25日

外国語の修得には皮肉が不可欠だ

これまで「大仮説」シリーズでは、検証されていない仮説を取り上げてきました。自分で証明することもできないし、誰かが代わって証明することもしてくれないので、仮説のままで放置されています。

しかし!本日初めて、サポートしてくれる証拠がある仮説を提示することができるようになりました。それは次の通りです。

外国語の修得には皮肉が不可欠だ

いやはや、素直な人間では到底外国語を身につけることはできないのでしょうか?ご心配なく。私も大変苦労して、人格的危機を乗り越えて、何とかある程度は外国語ができるようになりました(笑)。

さて、この仮説を証明する証拠はどこにあるのでしょう。実はスペイン語の検定試験であるDELEにあったのです。DELEについてはこのブログでも一度記事にしたことがありますが、こんなに大事なことが入っていたんですね。その文書は「DELE取得の手引き(上級)」で、Instituto Cervantesのサイトからダウンロード可能です。
http://diplomas.cervantes.es/docs/ficheros/200402120018_7_2.pdf

以下、関係部分を紹介します(仮訳は筆者)。

口頭表現
受験者は一般的に次のことができないといけない。
(中略)
・・・比喩や皮肉などの手法を使えないといけない。
(17ページ)

文書表現
受験者は一般的に次のことができないといけない。
(中略)
・・・比喩的、暗示的、皮肉的あるいは滑稽な特徴を含んだ文体を用いないといけない。
(18ページ)


この通りです。すなわち、スペイン王国認定のスペイン語検定試験に受かるためには「皮肉」が必須だと、試験の責任者が言っているのです!

これはこの仮説をサポートする大変な証拠です。仮説は仮説のままでいるのが身の程を知った振る舞いだという有力な意見もありますが(笑)、やはり仮説の正しさを証明する材料が出てくるのはうれしいものです。

私は前に「外国語のうまさはどれだけ文章が分かりにくいかに比例する」という仮説を提示しましたが、今回の仮説はそれとも関係があるように思われます。さらに検討を続けていきます。
ラベル:DELE 皮肉 スペイン
posted by 杉田伸樹 at 22:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 大仮説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年06月23日

Basic Spoken Spanish (基礎スペイン語会話) (その3)

本教材はスペイン語の運用能力をつけさせることを目的としています。アウトプットとしては、話すことと書くことがありますが、基本的には話すことを中心に作られています。この点でいくつか特徴があります。

●吹き込み者の出身地

中南米のスペイン語といっても地域によりいくらかの差があります。これは発音だけでなく、単語や文法でもそうです。しかしながら、こうした差は話の内容がやや改まったものになってくるにつれ、あまり重要ではなくなります。唯一、発音上の特徴が気になるくらいかと思われます。

日本人がスペイン語を学ぶ場合、標準とすべき発音をどのようなものにするべきかというのは簡単に結論が出る問題ではなく、いろいろな要素を考える必要があります。これは、単に、スペインのスペイン語か中南米のスペイン語かというだけではありません。すでに述べた通り、中南米のスペイン語といっても地域的な違いはあるからです。

そこで本教材では、架空の国を舞台として、現実には存在しないかもしれないが一応、中南米のどこでも(あえて言えばスペインでも)通用する「標準的な中南米のスペイン語」を身につけさせることを狙っています。

吹き込みをするのは生身の人間ですから、このようなやや人工的な「標準的な中南米のスペイン語」だけを話すわけではありません。この点を考えて、吹き込み者はかなり多くの国から選ばれています。具体的にはメキシコ(男2、女1)、アルゼンチン(男1、女2)、コロンビア(男1)、ボリビア(男1)、ペルー(女1)となっています。

課が進んで、話す内容が多くなり割合くだけたような話題も入ってくるにつれて、話し方の地域的特徴が出てくるように感じられます。耳にするスペイン語のバリエーションが多いほど、自分が話す時にどのような話し方をターゲットにしたらよいか、あるいは、どの程度の変異だったら許容されるものなのかについて感覚的に分かるようになってきます。この意味で、多くの吹き込み者を用意したことは理に適っています。

1970年代後半という時期にこのようなメンバーを集めて録音をした(日本版はテキストも原著を修正しているし、録音は全面的にやり直している)のは大変なことだったと思います。この面でもこの教材のすごさが感じられます。

●発音の基礎知識と練習の徹底

本体の練習に入る前に、予備学習として、スペイン語の発音に関してかなり詳細な説明と練習があります。これも本教材の特徴である「音声重視」のあらわれです。

「まえがき」には、「英語などに比べてスペイン語はその発音が全体的に日本語のそれと酷似していることから,スペイン語の発音は我々日本人にとってやさしいという安易な結論を出さないでいただきたい。」と釘がされています。

私の経験からは、外国語の発音については、習い始める一番最初になるべく包括的にきちんとした知識を身につけ練習しておくことが、結局はあとあとまで役に立つものになると信じています。この場合、特に日本語の発音との類似、相違を意識することは効果的です。

一つの例として、スペイン語のdについて見てみます。実は文字dには2種類の音声があります(ただし、スペイン語母語者はこれを1種類と思っているようです)。休止およびn, lのあとでは破裂音ですが、その他の場合は摩擦音(英語のthenの最初の音と似ている)となります。この区別は規則的あるいは義務的なので、きちんと区別しないと不自然なものになります。

問題は、この区別を知らないであとから「自然に」習得することが可能かということです。できるかもしれませんが、おそらく難しいでしょう。でも知っていれば自分で発音する時に気をつけるようになります。だから最初から知識として知っていて、できれば練習もしたということで、あとからの手間を省くことが可能となります。ここでの手抜きは、あとになればなるほど修正のためのコストがかかることになります。

ここでの大事なことは、奇をてらった説や練習法ではなく、一般に受け入れられている説、練習法を使うことです。外国語の勉強は新説の証明のためにやるものではありません。特に最初の時期では大事なことです。

いずれにしても、この予備学習での発音の説明(綴り字との関係も含む)があるために、その後の学習の効率も上がっています。良く考えられた構成だと思います。

(続く)
posted by 杉田伸樹 at 18:00| Comment(0) | TrackBack(0) | スペイン語いろいろ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年06月19日

外国語修得は孫子の兵法で

前回の大仮説から少し間があいてしまいましたが(そもそも大仮説なんてそうそう簡単にできるものではないんですよ。いい加減に作ってるんじゃないかと思っているそこの人!)、新たなものをお届けします。

外国語修得は孫子の兵法で

外国語を修得することを柔道や茶道と同じく「〜道」と名付け、メタファーとする人がいます。これに対しては、どうも賛否が分かれるようです。まあ、剣道や華道でもみんながみんな難しい顔して精根込めてやっている訳でもなく、お手軽にやっている人もいるんじゃないかと思うんで(そういう人は「道」を目指してないのだという突っ込みはとりあえず無視して)、単に呼び方だけの問題ならわたくし的にはノー・プロブロム!

しかしながら、「道」のアプローチで私が気に入らないことが一つあります。それは、いずれにしても「個人的な修練、向上の手段」としか外国語の修得がとらえられていないことです。そんな器の小さいことでは、これからの世の中はわたっていけません。大事なのは「戦略的思考」、これです。

戦略といえば、クラウゼヴィッツなどが有名ですが、なんといっても中国四千年の歴史の中でさんぜんと輝く「孫子の兵法」に尽きます。

一番有名な言葉として「戦わずして勝つ」というのがあります。これは外国語学習に一番役に立ちそうです。そうは言っても「勉強しないで覚える」ではないですからね。敵は学ぶべき外国語ではないのです。外国語を使って説得しなければいけない相手です。「戦わずして勝つ」はこの場合「しゃべらずに(書かずに)納得させる」です。え、そんなことできないですって?ふふふ、それが素人の赤坂見附。「道」を超えた先にはこれが見えてくるのです!!
posted by 杉田伸樹 at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 大仮説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年06月18日

Basic Spoken Spanish (基礎スペイン語会話) (その2)

この教材の考え方などについては、日本版の編者による「まえがき」に書かれています。これに沿って、説明をしていくことにします。

●米国務省外交官研修所 (FSI)が原著を作成
もともと、米国外交官がスペイン語圏(主に中南米)に赴任するに当たって必要なスペイン語を身につけさせるという目的のために作られています。このため、「教養のため」といったぼやっとした目標ではなく、きわめて実践的な特徴を持っています。

●中南米のスペイン語を対象
米国と中南米との関係を反映して、中南米で使われているスペイン語を教えています。一例をあげれば、発音はc (a, o, uの前を除く)及びzをsと区別しない、いわゆるseseoで統一されています。また、文法では、動詞のvosotros活用形を省略しています。これが登場するのは、第51課(最後から3つ目)であり、しかも、次の課にはアルゼンチンなどで使われるvos活用形が出ています。つまり、vosotrosとvosが同じ重さで扱われています。

●パターン・プラクティス中心
練習の方法でもっとも重要なのがパターン・プラクティスです。これは基本的な文型を使ってその一部を他の単語などに置き換える練習を時には飽きが出るほど繰り返すものです。この方法は「まえがき」によれば、アメリカ構造主義言語学の言語理論に基づくものだそうです。

●大量の音声教材
前項とも関係しますが、パターン・プラクティスが自習できるようテープに収録されているので、音声教材の量は大変なものとなります。

こうした特徴は、いわゆる「軽い」入門書等とはかなり趣を異にしています。目的が明確なだけに「何をどれだけやればどの程度までいく」ことをきちんと示すことが必要で、そのためには妥協しないという姿勢が見えます。あえて言えば、「これをすべてやれば、日常生活や普通の仕事といったシチュエーションで困らないだけの運用能力がつきますよ、でも、全部きちんとやらなければだめですよ。」ということでしょうか。これはかなり正確な見積もりだと思います。

(続く)
posted by 杉田伸樹 at 23:34| Comment(0) | TrackBack(0) | スペイン語いろいろ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年06月17日

Basic Spoken Spanish (基礎スペイン語会話) (その1)

このブログの最初に書いた通り、私がスペイン語を習ったのはもう20年以上前に、仕事の必要からでした。この時は、まったくの初歩から3ヶ月ほどかなりインテンシブな研修を受けました。講師はネイティブ・スピーカーと日本人で、方法もさまざまでした。少人数(6人のクラス)で集中した練習をしたので、終わり頃にはそれなりに使えるようになりました。

ただ、私自身はそれだけでは練習がやや不足するのではないかと思い、自分で教材を見つけて時間が許す限り自習もしていました。それが、「Basic Spoken Spanish (基礎スペイン語会話)」(原著出版 U.S. Foreign Service Institute、日本版責任編集 原誠・秋山紀一・阿部三男・上田博人、日本版制作 ランゲージ・サービス)です。

これは、上下に分かれていて上巻は1〜28課、下巻は29〜53課となっています。カセットテープが付属していて、上巻は16本、下巻は15本、合計31本と大変な数です。値段がいくらだったか今となっては覚えていないのですが、かなり高かった覚えがあります。それにもかかわらず、買ってみようという気になったのは、それが当時には珍しく「中南米のスペイン語」を対象にしていたことです。中南米で仕事をするのだからその地のスペイン語を勉強しておくのも良いと思ったからです。

どうやら、この本の出版社はすでになく、この本を入手することや情報を手に入れることもできないようです。でも、私にとっては大変思い出深く、かつとても役に立ったものなので、ここに記事としてまとめて書きとめておこうと考えました。

(続く)
posted by 杉田伸樹 at 21:55| Comment(16) | TrackBack(0) | スペイン語いろいろ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年06月10日

2007-06-10

■YS-11
国産飛行機のYS-11が記事の中で引用されていました。該当部分のトランスクリプトを引用します。

En diciembre fue puesto fuera de operaciones el último de los aviones japoneses de hélices YS-11, luego de casi 40 años de servicio.

特に変わったところはない文章ですが、これをニュースで聞いていた時にYS-11の発音が気になりました。普通に考えれば、「イグリエガ、エセ、オンセ」なのだと思いますが、何度聞いても「ジェ、エセ、オンセ」と聞こえます。

手持ちの西和辞典を調べたところ、一つだけ(白水社「西和辞典(増訂版)」に、Yの読み方として/je/が出ていました。この発音がどの程度ひろく使われているのか知りませんが、少なくとも私は初めて聞きました。
posted by 杉田伸樹 at 22:45| Comment(2) | TrackBack(0) | 本日のDaily News | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年06月03日

第61回国連総会一般演説

2006年9月19-27日に開催された第61回国連総会の一般演説です。
http://www.un.org/webcast/ga/61/gastatement19.shtml
(これは19日の分です。他の日の演説についても、リンク先からたどっていけます。)

大統領になって国連総会で演説するような機会はまずないでしょうから、これを真似する必要はないと思いますが、ビデオを見て演説を聴くと、こういう機会に相応しい話し方の例が分かって参考になります。

スペイン語以外のものを聴いても良いです。英語の演説(通訳を通したものでなく、演説者が英語で話しているもの)は、米英豪などほとんど英語しか使っていない環境のもの、インド、パキスタン、バングラデシュ、スリランカ、東アフリカの国々など、英語が公用語だがその他の言語も使われている環境のもの、さらには英語を外国語として学習する環境のものと多くの例があります。

これらを聴き比べて見るのも興味深く、瑣末な発音の違いなど越えて、聞き手にどのようなメッセージを伝えるかという技術を研究するのに役立ちます。

スペイン語について言えば、面白いと思ったのはアンドラのものでした。スペイン本国や中南米各国のスペイン語はこれまでいろいろな機会に聞いたことがあり、だいたい予想がつきますが、アンドラの演説はちょっとこれまで聞いたことがない発音でした。

中南米各国の大統領は最近、登場したり選挙で再選した人が多いため、この国連総会での演説も晴れの舞台ということで張り切っている様子が分かります。こうした極めて公式な場所でのスペイン語は、最初の呼びかけ(偉い人たちの役職、名前が列記される)など、決まった型があります。しかし、他の面では普通に勉強したスペイン語で十分理解できるものです。大統領たちの生の声、生の動きを楽しく鑑賞することもスペイン語学習の醍醐味ではないでしょうか。
posted by 杉田伸樹 at 22:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 役立つサイト | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月30日

アナウンサーの話し方

これまで私が聴いたDaily Newsでは、アナウンサー(本職のアナウンサーかどうかは知りません)が6人いるようです。毎日二人ずつでてきます。本文の読み上げに入る前に、名前を名乗るので、気をつけて聴けば簡単に区別できます。

聴いていて分かるのが話し方、発音の微妙な違いです。方言といっても良いかもしれません。

とりあえず私が聴いて気がついたのがc(ca, co, cuを除く)およびzをsと同じに発音するseseoの有無と、語末などのsが息だけになる、あるいは全く消えてしまうcomerse las esesの有無です。

解説書などによると前者は、スペイン中北部以外ではseseoが普通ということのようです。後者はラテンアメリカのラプラタ地方、チリ、中米、カリブ海沿岸などで見られるようです。

6人の発音を上記についてみると、seseoは6人中5人、comerse las esesは6人中1人でした。なお、seseoでない人とcomerse las esesの人は別の人です。

この6人の実際の出身地は知りませんが、このような発音の特徴から見るとスペイン語圏のいろいろなところから来ているようです。こうした違った発音を聴いていると、自分が発音する場合にもどの程度の発音の「ずれ」が許されるのかを知るのにも役立つようです。スペイン語の良いところは、こうした発音などの違いにも関わらず、ある程度改まった内容の話では方言の差で理解ができないということがほとんどないことにあるような気がします(中国語やアラビア語では理解できないことも多いそうです)。

[6月4日追加]

上記の6人の他に2人のアナウンサーがいることが分かりました。これら2人について、seseoとcomerse las esesについて調べてみると、一人はseseoではなく、comerse las esesdでもなく、もう一人はseseoで、comerse las esesではありませんでした。

合計8人のまとめは以下の通りです。

seseo (-) comerse las eses (-) ・・・ 2人
seseo (-) comerse las eses (+) ・・・ 0人
seseo (+) comerse las eses (-) ・・・ 5人
seseo (+) comerse las eses (+) ・・・ 1人
posted by 杉田伸樹 at 22:42| Comment(0) | TrackBack(0) | Daily Newsについて | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月28日

ニュースの前に

Daily Newsは、ニュースを読み上げる(トランスクリプトの部分)だけではありません。開始の言葉(Aquí iniciamos la transmisión en español de NHK World Radio Japón.)、テーマ音楽(これは言語毎に異なっているようです)、主要記事のタイトルが続き、その後にニュースを読み上げる人が自分の名前を言います。

最後の部分は、決まり文句的なものがいくつかパターンがあります。どれを使うかをどのように決めているのか分かりませんが、以下に例を紹介します。

Este boletín informativo en español de la NHK les llegan en las voces de .....

Iniciamos diez minutos del boletín informativo de la NHK World Radio Japón con ustedes al micrófono ....

Estos son los titulares de nuestro boletín informativo de noticias de NHK correspondiente al (fecha), que les llega a ustedes en las voces de ....

Son estos los titulares de nuestro boletín de noticias del (fecha) llega a ustedes en las voces de ....

Son los principales titulares del informativo de NHK correspondiente al (fecha), que les presentan ....

Este noticiero les llegan en las voces de ....

このような違いに注意して聴くのも面白いかもしれません。
ラベル:タイトル
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2007年05月22日

外国語トンデモ学習法

実をいうと私の趣味は外国語トンデモ学習法の研究だったりします。外国語の勉強を始めて苦節40余年、トンデモ学習法もいろいろ見てきました。これに関する研究成果をここに大公開!

トンデモ学習法には次にあげる特徴が見られることが朧げながら分かってきました。

1. 英語に関するものがほとんど

どうやら英語はトンデモ学習法の宝庫のようです。これが英語の特性によるものなのか、あるいはヨーロッパ言語だけの特徴なのかは不明です。最近の私の研究によれば、スペイン語は同じヨーロッパ言語ではありますが、出現頻度はずっと低いようです。一方、韓国語では増えつつあることが観測されています。こうしてみると、ヨーロッパ言語だけの特徴であるとか、全世界で日本語と韓国語だけが他の言語と際立って違うということは、ことトンデモ学習法に関しては証明されないようです。

グアラニ語でのトンデモ学習法を見つけた方がいらっしゃいましたらぜひお知らせ下さい。貴重な研究対象になりますので。

2. 発音に関するものがほとんど

どうやら言語活動は発音に集約されるようです。ここでのキーワードは「ネイティブ・スピーカーのように」で、これこそが殺し文句、キラー・コンテンツです。ネイティブ・スピーカーって実在の人物かどうか分からないですが、居たとしたら次なるはテープレコーダーの出番じゃないでしょうか。

スペイン語の縮小辞がネイティブ・スピーカーの地理的差異にどのように影響を受けるかについてトンデモ学習法があると助かるんですがどうですかね。

3. 理論があるものがほとんど

どうやらトンデモ学習法の恩恵をフルに享受するには、難しい理論を理解しないといけないようです。まずはこの壁を突破しないことには何をやってもだめなようです。うう、何でこんなに人を寄せつけないようにしているのだろう。せっかくのトンデモ学習法なんだから、なるべく多くの人に理解してもらうようにした方が良いと思うんだけど。

理論はいいから結果を生むための道筋を教えてください。

****

以上、書いたところでハッと気がついたのですが、トンデモ学習法の作者は学習者への愛情から上のような方法をとっているのではないかと。

考えてみれば、英語こそ世界で一番通じる言語なんだから、恩恵を受ける人も多いはずで、ナバホ語やヨルバ語なんかで満足していてはいけないということで、全くもって尤もなことです。人間、大乗的な愛情でものごとに当たらないといけません。

発音のことだけを言うのだってそうです。いるかいないか分かりませんがネイティブ・スピーカーのように発音できれば、その他の問題はすべて解決!というのは自明なことなのです。

それに理論が難しいというのは誤解で、その程度の理解もできないんだったら(理論の内容に賛成かどうかなんて関係ない)絶対、外国語なんて身につく訳ないんです。カラオケをやるには対位法、ゴルフをやるには特殊相対論が分かってなければ絶対うまくなれません。

****

なお、本記事は「英語がネイティブ・スピーカーのように話せる理論」を標榜しているものがすべてトンデモ学習法であることを主張するものではありません。あくまで、これまでの私の経験による大まかな近似です。また、「ダリー語における丁寧表現の身につけ方」といったものが(これは仮の例です。もし実際にそのような学習法があったとしても、それは偶然の一致です。)トンデモ学習法ではないことを保証するものでもないことをお断りします。
posted by 杉田伸樹 at 22:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 外国語練習いろいろ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007-05-21

■yuanes

中国の通貨、人民元の複数形です。トランスクリプトを引用します。

En el Mercado de Cambios de Shanghai, la moneda china se cotizó a 7,6615 yuanes por 1 dólar durante un rato el lunes por la mañana.

英語の場合、なじみのない外国通貨の場合、複数でも単数と同じ形で使われます。スペイン語では、円(yen)でも元(yuán)でも複数形が使われます。他の通貨はどのような扱いがされているか、あるいは、他の言語(単数と複数の区別があるもの)ではどのようになっているか興味深いですね。
ラベル:中国 人民元
posted by 杉田伸樹 at 07:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 本日のDaily News | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月20日

Univisión

アメリカで最大のスペイン語メディア企業集団のインターネットポータルサイトです。
http://www.univision.com/portal.jhtml

スペイン語のポータルサイトで、何でもあると言っても良いくらい内容豊富です。アメリカ合衆国内のヒスパニックが主要なターゲットと考えられるので、内容もそうした関心に合わせて作られているようです。
ラベル:univisión テレビ
posted by 杉田伸樹 at 23:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 役立つサイト | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月17日

Notes in Spanish

スペイン人女性とイギリス人男性のカップルによる、スペイン語学習のためのサイトです。
http://www.notesinspanish.com/

中級と上級の会話がポッドキャストで聴けます。トランスクリプトもありますが有料です。

会話の内容は肩の凝らない自然なものです。イギリス人男性のスペイン語は、わずかに英語訛りが残っていますが問題ないでしょう。スペインに来た当初は一言もスペイン語をしゃべれなかったそうですから、練習すればこの位までは行けるという意味で励みになります。

最近は動画も力を入れているようなので、言っていることが少々分からなくても楽しめると思います。
posted by 杉田伸樹 at 23:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 役立つサイト | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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